- 文字だと読めるのにリスニングになると全然聞き取れないな…
- 簡単な英語は聞き取れるのに、長い文章になると急にわからなくなる…
- リスニング力をとにかくアップさせたい!
そんな悩みを感じたことはありませんか?
英語の教材や学習方法はたくさんありますが、間違った方法を選ぶと「一生懸命取り組んだのに思うような効果がでなかった!」という状況に陥ってしまうことがよくあります。
私は大学生まで英語が大の苦手でしたが、社会人になってから独学で英検準1級とTOEIC900点を取得し、現在は15年以上ネイティブスピーカーと同じ職場で働いています!しかし、最初は何も考えずにひたすら英語を聞いたり問題を解くことにばかり集中してしまい、がんばっているのに聞き取れないことに心が折れそうになることも…。
この記事を読めば「リスニング力をアップさせる効果的なシャドーイングのやり方」がわかります!
シャドーイングとは?
シャドーイングは聞こえてきた英語の音声を、1、2語遅れて発声するトレーニングです。英語を聞き終えてから英文を繰り返す「リピート」とは異なり、影(シャドー)のように後ろから追いかけて復唱します。
シャドーイングにはいくつかの種類があり、それぞれの目的や効果が異なるため自分の学習段階に合わせて選ぶことが重要です。
音に集中する『プロソディ・シャドーイング』
発音・イントネーション・リズムを重視し、意味を考えずに音だけを真似るシャドーイング。
- 音だけに集中するので初心者でも始めやすい
- 英語の音声をより正確に聞き取れるようになる
- 発音、リズム、イントネーションが自然になる
内容に集中する『コンテンツ・シャドーイング』
意味をイメージしながら内容も意識するシャドーイング。
- プロソディ・シャドーイングよりも高度なトレーニング
- 瞬時に意味を理解する力が伸びる
- 使えるフレーズや表現が自然に身につく
- リスニング力とスピーキング力を同時に鍛えられる
シャドーイングでリスニング力がアップする理由
英語を聞き取る流れ

リスニングをするとき、私たちの頭の中では「音声知覚」と「意味理解」の2つのプロセスを踏んでいます。
① 音声知覚(聞こえてきた音を単語として認識する)
ネイティブスピーカーが英語を話すとき、単語同士がつながったり(リンキング)、音が弱くなったり省略されたり(リダクション)と、さまざまな音の変化が起こります。
そのため、聞えてきた英語の音を意味のある言葉として認識する必要があります。
例)「アナポー」という音を聞いて「An 」と「Apple」という単語であると認識する
このような音の変化に慣れていないと、知っている単語でも聞き取ることができません。
この音の変化がリスニングを難しくする大きな原因の一つになっています。
② 意味理解(認識した単語を組み合わせて内容を理解する)
聞き取った英語は、知識のデータベース内にある単語(音・意味)や文法をもとに、その内容を理解します。
例)「An apple」は「りんご」という意味だと理解する
つまり、
聞き取った音を認識するのに時間がかかる → 次の言葉が流れていく
意味理解に手間取る → 文全体の意味がつかめない
となり、最初の部分を処理しているうちに、次の部分が聞き取れなくなるという悪循環に陥ってしまいます。
シャドーイングで脳の負担を減らそう!

長い会話や文章を理解するには、一時的に内容を覚えておく「短期記憶」が欠かせません。
しかし、リスニングが苦手な人は、音を聞き取ること(音声知覚)や意味を理解することに集中しすぎて、短期記憶に回す余裕がなくなりがちです。その結果、前の内容を忘れ、話についていけなくなります。
シャドーイングを続けると、英語の音の変化に慣れ、スムーズに聞き取れるようになります。すると、音の処理が素早くなり、文全体の意味も瞬時につかめるように。
音声知覚と意味理解の負担が減れば、短期記憶に余裕が生まれ、長い会話や文章も理解できるようになります。
- 正しい発音、リズム、イントネーションが自然に身につく
- 音声知覚と意味理解がすばやくできることで、速い会話でも理解できリスニング力が向上する
- 短期記憶に脳のワーキングメモリを使えるようになる
シャドーイングの具体的なやり方
1日目:準備と基礎固め

自分のレベルにあった教材を使うことがとても大切!
教材の選び方は後で詳しく解説するよ
- 音声を聞いておおまかな内容を理解する
- どこが聞き取れないかを意識する
- 聞き取れなかった部分をスクリプトで確認する
- わからなかった単語を調べたりして、全体の意味を理解し、文の構造をイメージする
- 英語音源とほぼ同時に音読する
- 音の強弱やリズム、イントネーションを意識してまねる



言いにくい所は、スクリプトに スラッシュ( / )を入れて区切る と
どこで切れるか意識しやすくなってスムーズに言えるようになるよ
- スクリプトを見ずに聞こえてきた英語の音声を1,2語遅れて発声する
- はじめは音に集中するプロソディ・シャドーイングで音の変化に慣れよう
- 自分の声を録音し、お手本と比べる
- 発音、リズム、イントネーションの違いをチェック
2日目以降:Step 4 & 5 を繰り返す
2日目以降は苦手なところを意識してシャドーイングを繰り返します。
シャドーイングがうまくできないところは、Step3のオーバーラッピングに戻り、口がスムーズに動くように練習しましょう!
2日目以降も、学習の最後には自分の声を録音して必ず振り返りをしましょう。



プロソディ・シャドーイングに慣れたら、意味をイメージしながら
内容も意識するコンテンツ・シャドーイングにも挑戦しよう
シャドーイングの効果を最大化するコツ


毎日短時間でも続ける
シャドーイングはとても負荷のかかるトレーニングなので、1日15~30分程度行うことをおススメしています。
1回に長時間やるより、短くても毎日続けるほうが効果的 です。
1日5~10分 でもOKなので、最初から完璧を目指さずに、まずは習慣化することを目標にしましょう!
きちんと声にだす
シャドーイングをするときは、頭の中でつぶやくだけでなく、実際に声にだしましょう。
英語には日本語にない音や口の動きがあるため、何度も声にだすことで、英語のリズムや発音に慣れ、口の筋肉も鍛えられます。
できるだけはっきりと声に出し、英語の響きを体で覚えましょう。
声を出せない環境では口パクでもOKですが、実際に発声する練習も忘れずに行うことが重要です。
毎日最後に録音して振り返りをする
シャドーイングでは、自分の発音を客観的に確認することが 大切です。
お手本と聴き比べることで、「自分では上手に言えたと思っていた部分が実はできていなかった!」ということに気づけたり、自分が苦手なところが明確になるので、重点的に練習することができます。
毎日録音することで成長を実感しやすく、モチベーションの維持にも役立ちます。
シャドーイングのあとは、録音と振り返りを必ず行いましょう!
シャドーイング教材の選び方


シャドーイングは、英語特有の音の変化に慣れ、音をスムーズに認識する力を養うことが重要です。
難しすぎる教材は挫折しやすく、逆に簡単すぎると音声のほとんどが聞き取れてしまうので苦手な音の変化の練習になりません。



自分にあった教材を選んで、効率よくリスニング力をアップさせよう!
スクリプト付きの教材を選ぶ
シャドーイングでは聞き取れなかった音と文字、単語の意味をつなげることがとても重要です。
言葉として認識できない音をただまねるだけでは、英語は聞き取れるようになりません。
音声変化に慣れるためにも、スクリプト付きの教材を活用してどんな音の変化が聞き取れなかったのかを確認できるようにしましょう!
知っている単語が多い教材を選ぶ
内容がまったくわからないものや、難しい単語が多すぎると挫折する原因に。
シャドーイングの教材は、80%以上が知っている単語で構成されているものを選ぶようにしましょう!
馴染みのあるテーマの教材、興味のあるトピックなどから選ぶのもおすすめです!
シャドーイングするときは30秒~1分程度の音声を使う
長すぎる音声は負担が大きく、集中力が続きません。短い音声なら細かい部分に集中できるので、1分程度の音声を繰り返し練習するのが効果的です。
私が初めてシャドーイングに挑戦したとき、やり方がよくわからなくて、5分くらいのスピーチを何度も繰り返し練習しました。
でも、長い音源だと回数をこなせないし、後半は集中力が切れてただの作業に…。何日か続けても、全然上達している気がしませんでした。
そこで、長い音源は1分くらいを目安に、「ここからここまで」と自分で区切ってやってみることに。
短い範囲を繰り返すから自分の苦手な部分に集中して取り組めるし、1日に練習できる回数が増えるので、より上達を実感できるようになりました!長い音源をダラダラと真似るのではなく、範囲をしっかり決めて、集中して反復練習をするのが本当におすすめです!
WPM(話すスピード)をチェックする
自分のレベルにあった速さの教材を選ぶことも、シャドーイングを継続するうえで重要なポイントです。
ただし、WPMの表記がないものも多いので、あくまで目安として参考にし、教材を選ぶ際は実際に音源を聞いて確認することを忘れないようにしましょう!
レベル | 目安のスコア・資格 | おすすめのWPM |
---|---|---|
初心者 | TOEIC600未満 / 英検3級~準2級 | 100~140 WPM |
中級者 | TOEIC600~945/ 英検2級~準1級 | 130〜170 WPM |
上級者 | TOEIC945以上 / 英検1級 | 170 WPM以上 |



取り組んだ教材のWPMを記録すると
自分の成長がわかるからモチベーションアップにもつながるよ
シャドーイング教材のWPMを自分で簡単に調べる方法もご紹介!
- 教材の音声を1分間再生し、その間に話された単語数をスクリプトを見ながらカウントします。
- 教材の総単語数と再生時間がわかる場合は次の計算式でももとめられます
WPM=総単語数÷再生時間(分)
無料で使える!レベル別おすすめ教材
初心者におすすめ(100〜140 WPM)
VOA Learning English(90〜110 WPM)


英語を母語としない学習者向けに作られているため、ゆっくりはっきり話されており、シンプルな単語が使われているのが特徴です。
『Read, Listen & Learn』から最新のニュース一覧をみることができます。
- ゆっくり話されていて聞き取りやすい
- スクリプトと音声をダウンロードできる
- サイトの日本語表示がなく、スクリプトも英語のみ
- 内容理解でつまづいた場合、自分で調べる必要がある
NHKラジオ英会話(100〜120 WPM)
日常会話で使える英語が学べ、文法や語彙の解説も日本語で行われます。
- 日本語での解説があるので、内容をしっかり理解しながら学習できる
- 文法や語彙も一緒に学べる
- スクリプトを確認するにはテキストの購入が必要
- 1週間ごとにエピソードが更新され、過去のものが聞けなくなる
BBC Learning English – The English We Speak(120〜140 WPM)


3分以内の短めの音声で、日常で使える実用的なフレーズを学べます。
- WPMが比較的ゆっくりで、学習しやすい
- スクリプトをサイト内でダウンロード可能
- サイトの日本語表示がなく、スクリプトも英語のみ
- 内容理解でつまづいた場合、自分で調べる必要がある
中級者におすすめ(130〜170 WPM)
BBC Learning English – 6 Minute English(140〜160 WPM)


6分程度の音声で、イギリス英語の興味深いトピックを解説してくれます。
- スクリプトをサイト内でダウンロード可能
- サイト内で無料のクイズが利用でき、理解を深められる
- サイトの日本語表示がなく、スクリプトも英語のみ
- 内容理解でつまづいた場合、自分で調べる必要がある
TED Talks(150〜180 WPM)


プレゼン形式のナチュラルな英語が学べる教材。
- スクリプト付きで、ほとんどの動画に日本語字幕もある
- 幅広いトピックがあり、自分の興味のある内容を選びやすい
- 話者ごとにスピードが違うため、難易度のばらつきがある
字幕付きの映画・ドラマ(Netflix・Disney+・Amazon Primeなど)
日常会話のスピードやイントネーションを学ぶのに最適。
- 実際のネイティブの話し方やイントネーションに慣れ会話力アップにつながる
- 好きな作品を使うことで、楽しみながら学習できる
- 字幕はセリフを完全に反映していない場合がある(簡略化されることが多い)
- シャドーイングするなら、CC(クローズドキャプション)がある動画を選ぶのがおすすめ



面白すぎてそのまま視聴してしまわないように注意が必要だね(笑)!
上級者におすすめ(170〜200 WPM)
BBC Global News Podcast(190〜220 WPM)


イギリスの公共放送局「BBC」がポッドキャストで放送しているニュース番組です。
- 世界中の最新のニュースが学べる
- スピードが速く、難易度は高め
- スクリプトがついていない
- ニュース英語のため、会話表現の学習には不向き
ネイティブ同士のフリートーク動画(YouTubeなど)(180〜230 WPM)
省略・リンキングが多い自然な会話スピードを学べる教材。
- 実際のネイティブ会話に触れられる
- YouTubeの自動字幕を活用してスクリプト付きリスニングができる
- 自動字幕は誤認識が多い場合がある
- 内容がカジュアルすぎることもあり、フォーマルな場面では使えない表現が含まれることも
番外編:シャドーイング特化アプリ「シャドテン」
シャドーイングを効率よく続けたいなら、シャドテンを使うのもおすすめ!
シャドテンなら、初級〜上級まで全レベルに対応しており、「どの教材を選べばいいか…」と迷う時間をなくして、スマホ1台で手軽にシャドーイングに集中できます。
さらに、自分では気付けない発音のクセや改善点をプロが指摘してくれるので、効率よく上達したい人にぴったり!
ただし、月額制サブスクなので「無料で学びたい」「いろんなメディアから好きな教材を自分で選びたい」という人には合わないかも。
学習効率を重視してシャドーイングを続けたいという人は、まず無料体験をためしてみましょう。
初心者がつまずきやすいポイントと対策
シャドーイングはとても効果的な学習法ですが、初心者がつまずきやすいポイント もあります。
ここでは、よくある悩みとその解決策 を紹介します!
英語のプロからフィードバックをもらえるアプリ『シャドテン』を活用する
シャドーイングは正しく行うことで、効率的にリスニング力をアップさせるトレーニングです。
シャドテンは、英語のプロが添削を行ってくれるので、自分の弱点を確実に見つけることができます。
また、シャドーイングをすすめていくうえで、疑問に思ったり不安に感じたことを相談することもできますよ。
独学への不安がある人はぜひシャドテンも活用してみてくださいね。
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